路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「トースト~幸せになるためのレシピ~」感想 ネタバレあり 79点

トースト~幸せになるためのレシピ~ [DVD]

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あらすじ

すばらしい料理を夢見る少年ナイジェルは、両親と3人で暮らしていた。料理が苦手な母親が作る料理はトーストと缶詰ばかり。それでもナイジェルは愛する母親と一緒で幸せだった。
しかし、クリスマスを前にして、母親が死んでしまう。
父親は新しい家政婦ポッター夫人を雇う。父親と彼女の仲は急接近していく。
母親の思い出が強いナイジェルは、ポッター夫人と仲良くすることができない。ただ、彼女の作るレモンパイは最高だった。次第にナイジェルは料理に取り憑かれるようになっていく。

感想

ありふれた、でも、ありふれていない話

イギリスの有名料理研究家ナイジェル・スレイター。この映画は彼の自伝をもとに制作されたものだ。
大筋だけを見ると、よくあるありふれた話かもしれない。
大好きな母親が死んでしまい、新しい継母がやってくる。その継母のことがどうしても好きになれない。

だけどこの映画「トースト」が素晴らしいのは、そこに料理が付加されているということだ。欠かせないスパイスのように映画のなかには、様々な料理が登場する。

母親と一緒に作ろうとしたミンス・パイ。
父親のために作ろうとしたタラの料理。

その一つ一つが、ナイジェルにとって特別な思い出になっている。それはナイジェルがその料理に触れるたびに思い出すことだろう。
視覚と比べると軽視されがちだけど、味覚や聴覚も立派に記憶をもっている。有名な小説「失われた時を求めて」は、マドレーヌの香りによって昔のことを思い出すシーンがある。

映画に登場する料理のほとんどは「悲しみ」で彩られている。

こげてしまったタラ。家族に不評だったボロネーゼ。食べてくれないレモンパイ。

そんなナイジェルが最も幸せそうに食べるのが、母親の作るトーストだ。
彼はトーストを食べながら「最高だ」と思う。
恐らくナイジェルにとって母親の作るトーストは忘れることのできない味だろう。

継母との対決

ポッター夫人のことがどうしても嫌いなナイジェル。それは青年になっても変わらない。家庭科の授業をとったナイジェルは料理を作って、自宅に持ち帰るようになる。それを美味しく食べる父親。嫉妬したポッター夫人は、先に料理を作って父親に食べさせることでナイジェルの料理を食べさせないようにした。
ナイジェルにとって悩みの種だったのはレモンパイだ。ポッター夫人の作るレモンパイは最高の味だった。ナイジェルはなんとかそのレシピを再現しようと試みる。

ナイジェルと、継母ポッター夫人との料理対決が楽しい。
しかしその料理対決はある悲劇によって幕を閉じることになる。

個人的にマイナスだと思ったのが、映画の最後の一文だ。事実なのだろうが「イギリスで最も権威のある料理研究家になった」までで、終わらせてよかったと思う。そのあとの一文が、しこりのように残ってしまった。

まとめ

「トースト~幸せになるためのレシピ」は、とてもセンスのいい映画だと思う。途中で挿入される音楽も映像とマッチしていて良い。
料理家として成り上がっていくナイジェリアも観てみたいなと思った。