路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「ブレードランナー 2049」(2017)感想 77点

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あらすじ(ネタバレなし)

舞台は2049年のロサンゼルス。前作の事件後、レプリカントを開発したタイレル社は、ネクサス社によって買収されていた。旧モデルであるレクサスシリーズは、人類の敵として、ブレードランナーの手によって「解任」が進められていた。
主人公のKは新型のレプリカントとして、旧型解任の任務についていたのだが、偶然レプリカントの死体を発見する。
そして、検死の結果、衝撃の事実が明らかになるのだが……。

感想(ネタバレなし)

ブレードランナーって?

前作「ブレードランナー」から35年ぶりの続編として公開された本作。
ハリソン・フォードや、ライアン・ゴズリングといった人気俳優が多く出演していることから、気になっている人も多いと思う。

「ブレードランナー」の魅力の一つといえば、荒廃した近未来の風景。日本の歌舞伎町をモデルにしたとされるアジア混じりの街並みは、数々のSF作品に影響を与えたほど、素晴らしい雰囲気を持っている。

良かった点:圧倒的な映像美&音響美

そして「ブレードランナー 2049」。前作の陰鬱とした雰囲気を引き継いだまま、また一味違った映像の美しさを魅せていた。

とくに光と陰のコントラストはそのシーンだけでも作品といえるほど美しい。全体を通して、価値のある映像に仕上がっていると思う。

シーンとシーンの飛び方もユニークで、急にパッと緑が広がるシーンがあったりと、視覚的に満足のいく作品になっている。

あと忘れてはならないのが音響。4dxでもないのに重低音で劇場が揺れるほど迫力がある。これは是非、体感して欲しい。

映像美と音響美が合わさり、映画の没入感としては最高の仕上がりになっている。

残念な点:上映時間が長い

映画としては163分あり、長めの本作。派手なアクションが多いわけでも、テンポが良いわけでもないので、人によっては怠さを感じるだろう。
中盤からややだれたかな、という印象。一つのシーンが間延びしていて、どうしても退屈を覚えてしまった。

まとめ

エンターテイメントを求めてはいけない。ハリウッド的脚本に飽き飽きしている人や、映画に新鮮さを求める人ならいいかもしれない。
どっちにせよ前作「ブレードランナー」を観て、肌に合うか確かめた方がいい。

シナリオは難解ではないため前作を観ないでも理解はできるが、解釈するのに苦労すると思われる。
「ブレードランナー」は受動的ではなく能動的に楽しむ映画。

感想(ネタバレあり)

恐ろしいラスト

こんなにかわいそうな主人公はいるだろうか、と思ってしまった。「ララランド」もそうだけど、ライアン・ゴズリングは悲しい役が似合うね。

この映画のキーとなるのは、レイチェルの子どもは誰なのか?ということ。そして中盤まで主人公Kが、その子どもである風に見せかけている。

Kは、平凡なレプリカントだった。チェックも完璧にこなしていたのに「自分が特別なのでは?」という希望を抱くことで、心理状態が変化していく。

しかし、自分がレプリカントの子どもであることを裏づける記憶は「偽物」だと言われてしまう。思わず激昂するK。ここの怒りも解釈がわかれるところだろうけど、僕は自分が特別であることを否定されたからだと思う。

自分が特別ではなかった→いや、この女が間違ってるかもしれない→デッカードに会ってみよう。

しかし、最終的にKはただのレプリカントであることを自覚させられる。
しかも、デッカードに「おまえは何だ」というようなことまで言われてしまうのだ。「愛のためには時に他人でなくてはならない」というセリフがあったけど、それが本当に他人なってしまうと悲しみを通りこして笑えてくる。

Kは主人公なのに平凡なレプリカントで終わる。一応デッカードを救ったりするわけだが、それでデッカードが得たものはなんだろう?

Kの心理描写はほとんど行動のみで表されていて、その無味乾燥ぶりがいい。事実だけがあるから色々と解釈できる。

それにしても、Kの人間性の芽生えのきっかけが「実は勘違いでした」っていうのは、改めてすごいな、と思った。

前作と比べると、今作はKの物語と言ってもいいんだけど、その中身が空っぽなんだよね。

この映画でもっとも人間らしいジョイに対して「奥のぞいたけど、空っぽだった」って娼婦が言うんだけど、それともリンクしている。人間性ってなんなんだろうか。

まさに「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」と問いかけるような映画だった。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

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