路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「ジグソウ:ソウ・レガシー」感想 71点

ネタバレなし

正当続編かつ原点回帰だが、シリーズの模倣品のような作品

sawを初めて観たときの衝撃はすごかった。その逸脱な設定と華麗なるどんでん返しに一瞬で虜になった。
それから2~7まで一気に駆け抜けたわけだが、1を超える作品はついに出てこなかったように思う。

1の完成度を補うように、sawは2から徐々にグロさをあげていった。sawといえば「どんでん返し」と「グロ」の印象が強い。しかし、シリーズを重ねるごとに「グロ」の方に比重が偏ってしまった。
ただ僕としてはsawの魅力は「どんでん返し」だと思う。
あの有名なBGMとともに明かされる真実、そのカタルシスがたまらない。

「ジグソウ:ソウ・レガシー」をひと言で言うなら「原点回帰」
グロさはあるもののミステリー部分に重きを置いている。ただグロを楽しむ作品ではない。もちろん「どんでん返し」もある。

ファン向けのシーンもある多いため、シリーズ愛好家なら観て損はしない作品だと思う。
ただ、肝心の「どんでん返し」のインパクトがかなり薄い。
下手に1と似せてきている部分があるため、正当続編なのにオマージュ作品に思えてしまう。

1は越えられなかったが、良作だとは思う。前シリーズのネタバレはほとんどないため、初めてsawを観る人でも楽しめる。
むしろ「どんでん返し」を踏まえると、初見の方が楽しめるかもしれない。

あらすじ

ジグソウと呼ばれる殺人鬼。彼は命がけのゲームを罪深き人に強制することで、多くの命を奪っていた。そのジグソウも十年前に他界し、検死されたあと埋葬されていた。
しかし、再び五人のプレイヤーが選出される。「罪を告白せよ」その声を合図に、プレイヤーは命がけの選択を迫られる。

ネタバレあり

使い回されたどんでん返し

この映画のピークはどちらかといえば中盤辺りにあったんじゃないかと思う。掘り出した棺桶にジグソウはおらず、しばらくシーンが移り変わって、フードの男がゲームの準備をし始める。
そのフードを脱ぐと、ジグソウが姿を現す。
やはりこれには「おお」と思わざるをえない。

しかし、アナとの回想シーン。映画としては十年前の出来事のはずなのにアナの容姿があんまり変わっていない。これで「ああ。このゲームは過去のものか」って一瞬でばれてしまう。

これが終盤の「どんでん返し」のオチの一つのわけだが、ばれるばれない以前に、今作の「どんでん返し」は、過去で使われているのが、どうしてもマイナス点になってしまう。

sawはどれだけ時間をいじくるねん、という感じ。ここら辺、3辺りでやっただろうに。時間軸をいじくったどんでん返しは、シリーズ中でこすられ過ぎていてどうも新鮮味が欠けてしまった。

どんでん返しのもう一つとしては、最初のゲームの死亡者が今作の首謀者だったというもの。
これもオチとしてはいいんだけど、1を踏まえると弱まる。1を観ていない人はいないと思うのでネタバレすると、1も死体が犯人(ジグソウ)というものだった。
そもそも、1の良さには、死体が起きあがるという視覚的なインパクトもあった。1と比べると、「んー」と思わざるをえない。

そして極めつけはラスト。
1を踏襲したかのようなドアをパシャリとしめるシーン。
これも絶望感がまったく違うし、ローガン(マット・パスモア)じゃ迫力が出てこない。
下手に踏襲されている分、劣化感が強まってしまったように思う。

ここまで書いてきて、ほぼけなしてしかいないのだけど、個人的にはわりとおもしろかったと思う。おもしろかったゆえに不満点も強いという感じ。

良かった点

sawシリーズで上手いなと思うのは「究極の選択」具合。こんなもの選べないだろ、というものをチョイスしてくるのが素晴らしい。
目を覆いたくなるシーンも多いのだが、一瞬たりとも目が離せない。

5人のプレイヤーの中で一番語りたいのはライアン。最初はいかにも自己中心的人物だが、めっちゃ良い人になっていくのがよかった。不良が猫を拾う効果だろうか。
実は性悪のアナが自滅して、「助かったのに」と嘆くライアンはかわいい。

最後に

おい、ゴードンどこ行った!?