路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「お熱い夜をあなたに」(1972)感想 60点

お熱い夜をあなたに [DVD]

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ネタバレなし

見所「安定のビリー・ワイルダー×ジャック・レモン」

ビリー・ワイルダーといえば数々の名作を撮ってきたハリウッドを代表する名監督。
この人の作品はとにかく脚本が上手い。そして俳優の魅力を引き出すのが得意。

そんなビリー・ワイルダーの手腕によって、ジャック・レモンの喜劇的な部分はおおいに発揮されてきた。「アパートの鍵を貸します」(1960)や「あなただけ今晩は」(1963)などなど。
しかしこの「お熱い夜をあなたに」のジャック・レモンは、上二つの作品と違って貫禄があって落ち着いている。
40歳を過ぎているから当然といえば当然かもしれない。
落ち着いているジャック・レモンも、渋みがあって貫禄があるということに気づかされる。

「お熱いの夜をあなたに」は、ラブコメディというより大人の恋愛という作品になっており、ジャック・レモンの配役がぴたりと当てはまっているのだ。

もちろんユーモアが一切ないわけではなく、映画が始まってすぐの飛行機のシーン。ジャック・レモンが老人に耳打ちしてトイレに一緒に入っていく。それを乗客どころかパイロットまで何事かと見にくるところは最高である。
どうして2人が同じトイレに入ったのかは、実際に映画を観て確認して欲しい。

あらすじ

父の死を聞いた実業家のウェンデルは、アメリカからイタリアのイスキア島まで訪れる。
父は毎年7月15日から8月15日までの一ヶ月間、静養のためにイスキア島に訪れていた。交通事故はその間に起きた不慮のものだった。
ウェンデルは父の遺体を、祖国に持って帰ろうとするが、なかなか上手く行かない。次第に、父と一緒にいた女性の存在が明らかになる。

ネタバレあり

感想

およそ2時間半という長さのわりには飽きさせないところが、さすがビリー・ワイルダーということだろう。
展開もユーモラスだし、ラストもい感じに終わる。
ただやはり一時間半でまとめられるんじゃないかなとも思ってしまう。

父の浮気を知ったとき激怒していたウェンデルが、父と同じように浮気を始めるのがありがちだけどおもしろい。それも父の愛人の娘パメラであることも「繰り返し」感があっていい。

個人的に好きなのは、盗撮をしてウェンデルにゆすりをかける従業員が、口ひげのあるメードアンナに求婚されているという下り。
急に出てきた口ひげメードに笑ってしまった。
盗み聞きしていた口ひげメードは、「結婚なんかしたくない」という言葉を聞いて、ゆすり従業員を殺してしまう。

ラストは、その遺体を父の遺体と交換して、二人を一緒にこの島に埋めてやるというもの。
口ひげのメードの現実感のなさ、急に起こった殺人の浮いた感じ、それがラストと繋がるのがおもしろかった。