路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「泥棒役者」感想 40点

ネタバレなし

「超喜劇エンターテイメント」ではない

予告編を観て「おもしろそうだな」と思って観に行ったけど、お世辞にもおもしろいとは言えなかった。
変に間延びしているため実際笑えるシーンは少ない。とにかくテンポが悪いし、いらないシーンが多すぎる。
コメディではなく「ちょっといい話」として観るのがいいと思う。笑い目的で行くときつい。

発想は良し、役者は良し、それ以外は……

泥棒が人を間違えられて演技をするっていう設定は純粋におもしろい。役者も個性的な面々を揃えてきていていいと思う。ユースケ・サンタマリアの演技はおもしろいし、市村正親はさすがといってもいい。
ただ、キャラ造形はちょっとリアリティがない。変な人ばかり集めすぎた感。演劇ならそれでもいいんだけど、カメラ越しの映画だときついものがある。
それも最後までコメディで突き通せばいいものの、変にドラマ性やサスペンス性を入れているせいで、登場人物が浮いてしまっている。
いちいち出てくる回想シーンも必要性がない。とはいえ市村正親演じる前園先生のある話だけ回想シーンがなかったのは良いと思うのだが。

演出とカメラワークがひどい

演出とカメラワーク。これを個々で見るのなら、おしゃれだしおもしろく撮っているなと思う。
ただ、映画の作風とは合っていないんじゃないだろうか。この映画のほとんどのシーンが前園先生の家でおこなわれるから一定の閉塞感があり、それを打開するためにカメラワークをぐわんぐわん動かしまくっているのだと思うが逆効果でしかない。
とにかく、カメラワークが気になってしょうがなかった。

好きか嫌いかで言えば好き

はっきりいっておもしろくなかった。おもしろくなかったんだけど、好きか嫌いかで言えば好きの方に傾く。
シナリオの教科書を見て書いたようなありふれた映画よりは、断然こっちの方が好きである。
それゆえ色々と歯がゆすぎる。素材はいいのに調理が下手。せめて70分にまとめれば少しはおもしろくなった気がする。
泥棒役者の役者部分も、途中でまったく意味をなさなくなるし、感動部分のシナリオがご都合すぎるし……。
少し変わった映画を観たい人ならいいのかもしれない。万人向けではないと思う。

ネタバレあり感想

良かった点

個人的に好きだったシーンは、主人公のはじめが泥棒だとばれて、前園先生に「俺のかわりに考えてくれ」って言われ、実際に考えてみるシーン。
はじめの駄目な絵本に対して、前園先生の的確なツッコミが入るのがよかった。

あと、一度は断られたユースケ・サンタマリア演じる轟良介が、再びドアを開けてやってきたシーン。
この二つは笑いそうになった。
そういうゆるい雰囲気は、この映画のすごいいい所だなと思う。

悪い点

この映画はなんだかんだ良い話。それはそれで嫌いではない。ただ、ちょっとどうかなと思うシーンがある。
それはラスト、はじめが恋人に対して隠し事を謝るシーン。
結局、良い感じに終わるのだけど、顔の傷を聞かれて「ぶつかっちゃったんだ」って言うのが解せない。
隠し事をしていたことを謝ったあとで、傷についてごまかす主人公ってどうなんだ。
そこは「実は……」ってなるところじゃないだろうか。実はこういうことがあってさ、で終わってもいいのに。
すげー最後にモヤモヤを食らった感じがする。恋人と向き合うって決めたのに、今日の出来事は隠すのかよ、って。

ただ、スタッフロール後に小野寺兄弟が出てくるのは良かった。