路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」(2017)感想 46点

ネタバレなし

まったく怖くないホラー映画

一瞬たりとも怖いと思わなかったホラー映画ははじめてかもしれない。日曜日ということもあって劇場はぜんぶ埋まっていたのだが、誰ひとり悲鳴をあげている人はいなかった。
恐怖演出として見ればおもしろいものは多い。ただ毎回どこで怖いシーンが出るか予測がつくうえ、恐怖までの持っていきかたがワンパターンかつ、すぐ恐怖シーンが終わり、日常パートに戻ってしまう。

演出は凝っているんだけど……

序盤のカメラワークや演出の仕方は単純だけどおもしろい。カメラワークを切らずにシームレスで別の場面に移行したり、自転車でそのシーンを終えたら、次も自転車のカットから始めるなど、イメージを上手く使ってシーンの切り替わりに違和感がないようにしていた。
しかしこれは序盤までで中盤以降はまったく使われないため、だれる。

演出として家の中=暗、家の外=明、というのを巧みに使い分けているのだが、最序盤シーン。
ビルが弟にワックスを取りにいかせる辺りで、ビルの部屋の窓が不用意に明るい。次のシーンで外が暗雲でたちこめていることがわかるため「なぜ窓が明るいんだ?」と疑問に思ってしまった。
演出にこだわりすぎるために起こした凡ミスか、僕の確認ミスだと思うのだが、そこでこの映画が心配になった。まあ、心配通りの凡作だったわけだが。

恐怖演出はおもしろい

まったく怖くないのだがCGを使ったり、貞子みたいなのがあったり、映像としてはおもしろかった。「アラジン」ではジーニーがいろんなものに変化するが、それの恐怖版みたいな感じ。というわけで観ていて楽しめるといえば楽しめる。

どちらかと言うとダークな青春ファンタジー作品

ホラーとしてみるとまったく怖くない。R15作品なのだが、逆に15歳以下じゃないと怖がらないだろう。
話の展開的に、ホラーよりのファンタジーを見せられた感じ。
少し「スタンド・バイ・ミー」っぽさもあったし、子どもたちが悪者退治をしようとがんばるお話として観るのがいいと思う。

ネタバレあり

この映画が怖くない理由

副題詐欺

ネタバレなしの方でも書いたが、もっと掘り下げてみる。まず映画のタイトルに「それを見たら終わり」という副題がついているのだが、主要メンバーの誰一人として死なない。どこが終わりなんだろうか。
「こいつら殺させたくないんだな」と思った瞬間にハラハラドキドキもしないと思う。

恐怖の感じさせ方が同じ

多いのは「接近系」。ぶるぶる震えながら近づいてこられても困る。あとはだいたい風船とか使って出てくることを教えてくれる。

主人公が「まったく怖くない」を選んでしまう。

いや、そこはものすごく怖いの方が見たい。どうせ大したことないのだろうけど、せっかく用意されてるんだから開けてやらないとピエロがかわいそうだろう。
というか、あの屋敷の下りから日常パートに一旦戻るわけだが、声を大にして言いたい。井戸行けよ。
あと、主人公が勇敢すぎる。もう少し怖がれや。

集団で鉄パイプを使いピエロをボコボコにする。

下水道に広がるファンタジー空間。浮かぶ死体が綺麗ですね。肉弾戦でピエロをボコボコにする少年たち。
いったい何の映画を観ているのだろうと思ってしまった。
そんな茶番のあとで弟の死を悲しまれても泣けない。

この映画がつまらない理由

主人公がためらいなく試練を乗りこえていく

葛藤や逡巡がほとんどないため、主人公ビルの成長をあんまり感じられない。おまえ急に勇ましくなってどうしたんだよ、と思う。そのあまりの勇ましさに、友人たちも引いているだろう。

主人公がヒロインを置き去りにする

主人公が一番大切なのは弟だからそれは良し。ただ、救ってあげた小太り転校生をさしおいて、ラストで濃厚なキスをかまされても……。たとえば、これがヒロイン第一であれば違和感ない。弟よりヒロイン選ぶ展開があれば良し。そうじゃなく弟を選び、最後の最後でキスされても、ぶれすぎ。いろんな要素をつっこめばいいもんじゃないだろう。やっぱりヒロインはビッ○でしたね、と笑えばいいんだろうか。それはそれで作品のジャンルがぶれてる。