路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「サイコ」(1960)感想 70点

サイコ (字幕版)

サイコ (字幕版)

ネタバレなし

「サイコ」といえば、やはり有名なあの恐怖音。
キィーン、キィーン、と連続する高音が、恐怖シーンをさらに強める。
音楽を担当したのはバーナード・ハーマンで、「市民ケーン」や「北北西に進路を取れ」など、数々の名作映画に音楽を提供している。
「サイコ」を観ていると、あの恐怖音だけではなく、至るところに心理状態とマッチする音楽が流れている。
主役であるマリオン(ジャネット・リー)は、ほとんど喋らないし、モノローグもない。しかし、彼女の心情は、適切な音楽で伝わってくるからおもしろい。

もちろん「サイコ」は音楽だけじゃない。シナリオ自体も思わず「え?」となるような裏切りがある。監督はあのヒッチコックということもあって、ホラーというより、サスペンス要素の方が強い。
不動産会社に勤めるOLマリオンが主人公。仕事で4万ドルを銀行に預けることになったマリオンは、その金を持ち逃げしてしまう。お金に困っている恋人サムと結婚するためだ。
序盤から緊張感ある逃走シーンに移るため、観ていて飽きない。そして、マリオンは古びたモーテルに泊まることになるのだが……。
そこから予想もつかない展開になっていく。

ネタバレあり

マリオンがモーテルに泊まって、4万ドルを新聞紙に隠すシーンがあって、夕食後、マリオンは殺されてしまう。
マリオンの死によって、一瞬主人公は不在になるのだけど、焦点が「新聞紙」に移ることで主人公が「金」になるところがおもしろいと思った。
実は大金の入っている新聞紙が捨てられるかどうか、でハラハラした。結局、ノーマンが最後の最後で新聞紙を見つけてしまい、また主人公は不在になってしまう。
で、今度は探偵のアーボガストに主人公が移るわけだ。個人的には「4万ドル」の行方は不透明にしてもよかったと思うんだけど、話がぶれちゃうのか。

中盤のマリオンの死も衝撃的だったけど、一番衝撃的なのはノーマンの母親の死体を見つけたあと。
女装したノーマンが出てくるのが本当に恐怖だった。
上手いと思うのは、カメラワークが何もないドアを映して、あの恐怖音を響かせたあと、女装ノーマンが出てくるところ。
普通のホラーだったら、振り返ったら、女装ノーマンが立っている。だけど「サイコ」では間があるんだよね。
その間のあとに、女装ノーマンが出てくるからこそ怖い。
このシーンだけ何回も見返してしまうほど、好きだ。