路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「ジャズ・シンガー」(1927)感想 60点

ジャズ・シンガー (字幕版)

ジャズ・シンガー (字幕版)

ネタバレなし

見所「世界で初めてヒットしたトーキー映画」

「ジャズ・シンガー」は、しばしば世界初の長編トーキー映画として紹介される。トーキーの実験自体はこの映画よりも前にあった。
この時代は、トーキー否定派の方が多い。
「ジャズ・シンガー」が予想以上にヒットしたため、ハリウッド全体がトーキーへと流れていく。

さて、世界初のトーキー映画として名高い「ジャズ・シンガー」なのだが、すべてがトーキーなわけではない。
ミュージカルとわずかな対話部分がトーキーなのである。
序盤、そのころ主流だった無声映画として始まるのだが、大人になったジェイキーが歌いはじめると魔法のようにトーキーへと切り替わる。

これは、機材の問題や、トーキーに馴染みのない観客を驚かすためである、など色々考えられるが、演出として優れていると思う。この時代のトーキーの弱点を上手く利用している。
これは映画にカラーが侵入してきた「オズの魔法使」(1939)の演出とも似ている。(映画は白黒で始まるが、ドロシーがオズにやってくるとカラーに切り替わる)

当時の衝撃はすごかったのだろうが、いま観ても、ジェイキーが歌い出すシーンは「おお」っと思う。

「ジャズ・シンガー」が素晴らしいのは、トーキーの価値を見出しながらも、無音の素晴らしさも強調している点である。
無音パートは、ほぼ主人公ジェイキーの葛藤に当てられるが、トーキーパートがあるゆえに、その静寂さが染み入る。(音楽自体はあるが)

ストーリーはやや単調で現代的とは言えないが、映画の古典として観る価値はあると思う。

あらすじ

ユダヤ人の少年ジェイキーは、厳格な父親と喧嘩し、家を飛び出す。数年後、ジェイキーはジャック・ロビンと名乗り、ジャズ・シンガーとして人気を博していた。
厳格な父親はジャズを歌うことに対して許しておらず、ジェイキーは両親を捨て「ジャズ・シンガー」として生きることを決意する。
しかし、父親が倒れてしまい……ジェイキーは決断を迫られる。

感想(ネタバレあり)

アル・ジョルソンの歌は素晴らしいのだが、ストーリーがまったく共感できなかった。
ジェイキーの父親も母親もすごい身勝手だなと感じてしまう。
とくに母親は「息子に居場所はジャズよ」と理解するにもかかわらず、「やっぱり賛美歌うたって」みたいな感じになるし。
監督は監督で「賛美歌選んだらキミの場所はどこにもないぞ」と言うくせに、普通にラストでジェイキーは歌っているし。
そういう色んな部分が肌に合わなかった。
とはいえ、最後の母親に当てた歌は、なぜか感動してしまう。