路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「或る夜の出来事」(1934)感想 75点

或る夜の出来事 (字幕版)

或る夜の出来事 (字幕版)

ネタバレなし

スクリューボール・コメディの原点

スクリューボール・コメディというのは、最初は仲悪い男女が喧嘩しながら恋に落ちるっていう話。
いまでいうラブコメだとか、そういうのに近いかもしれない。
アメリカでその手のジャンルの大流行を作ったのが「或る夜の出来事」である。
ちなみにこの「或る夜の出来事」は、アカデミー賞5部門ノミネートされ、5部門ともとったすごい作品。
いま観ても普通におもしろく、構成も見事である。
新聞記者と、令嬢というところから「ローマの休日」を思い出したのだが、ローマの休日にも影響を与えた作品らしい。

あらすじ

銀行家の娘であるエリーは、飛行士ウェストリーとの結婚を父親から反対されていた。挙句の果てに、ヨットに軟禁されたエリーは、海へとダイブして脱出。
愛する人のいるニューヨークへ行くため、マイアミから深夜バスに乗りこんだ。
そこで同乗したのが新聞記事をクビになったばかりのピーターだった。ピーターはエリーが令嬢であることに気づき、スクープを狙う。
お互い印象最悪の2人だったが、トラブルを重ねていくうちに徐々に2人の距離は近づいていき……。

感想(ネタバレあり)

この映画は、2人の心情描写の変化も魅力的なんだけど、ワンシーンだけ切り取ってもおもしろいものが結構多い。

たとえば、ヒッチハイクのシーン、ピーターがいくらやっても車が泊まらないのに、エリーが足を出しただけですぐ止まるところは最高。

エリーの正体に気づいた客が、ピーターに口止め料を払えというシーン。
「ピンチだな」と思って観ていたら、ピーターが「トランクにマシンガンを積んであるから警察を殺せ」と言うところは最高だった。頭良いなと思った。
この乗客もすぐ騙されて味があって良い。

しょっぱなヨットからダイブする令嬢エリーもおもしろいし、コメディというだけあって一場面一場面がおもしろいな、と。
それも変に現実離れしすぎていないところが魅力的だった。

この映画で欠かすことができないのは、やっぱり「ジェリコの壁」。
2人の関係性という曖昧なものを視覚的な「毛布」に変換したのは見事だろう。
「ジェリコの壁」を抜けて、エリーがピーターに「愛してるの」と告げるシーンは、観ていて「上手いなあ」と感心してしまった。