路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「レベッカ」(1940)感想 68点

レベッカの恐怖

死んだ女には勝てない、なんていう言葉がありますね。それはそうだろ、とぼくは思うわけです。だって相手お化けだぜ。物理攻撃効かないんだぜ。
死んだ女=最強。
という映画「レベッカ」を観ました。監督はヒッチコックですね。ヒッチコックは外さないですね。あ、お化けは出ません。

簡単なあらすじ

主人公「わたし」は、大金持ちマキシムと出会い恋に落ちる。マキシムは前妻である「レベッカ」をヨット事故でなくしていた。
新しい妻として、イギリスの大邸宅「マンダレイ」にやってきた「わたし」だったが、
結婚生活に「レベッカ」の影がつきまとう……。

庶民がですよ、いきなり大豪邸暮らしになるわけですよ。この「わたし」が、まあ慣れない。
いきなり使用人とか出来るわけですから、落ち着かないんですよ。さらに前妻「レベッカ」の存在もある。
居心地の悪さの描き方が本当に上手。観ているこっちまで居心地の悪さを感じるんです。
しかも、義兄がね「馬は乗れるんだろ?」みたいな感じで話しかけてくるわけですよ。

とはいえ「わたし」も段々馴染んできます。しかし、「わたし」の前には強敵が立ちふさがります。
それが使用人のダンヴァース夫人。レベッカこそマキシムの妻にふさわしいと思っている狂信者です。
「えーなにこいつ、超美しいレベッカ様の足元にも及ばないわ。靴をお舐め」
まあ実際靴を舐めろとは言わないんですが、それくらい厳しい目線で見てくるんですよ。

夫は夫でどうせレベッカのこと考えてるんでしょ。きー悔しいわ。みたいな精神状態に「わたし」は陥っていくわけですが、そこから「ヒッチコック」が顔を出してきますね。「またせたな」という感じで。
すごい展開が待っていますぜ。

ネタバレあり感想

この映画は終盤で意味がガラッと変わりますね。マキシムが見せてきた表情が「レベッカを愛していたため」でないことを知ったときの衝撃。
最初の崖から海を観ていたシーンも自殺を考えていたのではなく、死体が見つかる恐怖を思っていた風に感じられます。
同じ映像なのに、真実を知ったときには違う映像に見える。
ヒッチコックマジックですね。

死んでなおかつレベッカの凄さと、ダンヴァース夫人の執念も素晴らしい。
最後に夫が無罪になることもレベッカは予測していたように思います。
もしかすると、それはレベッカなりの夫への愛だったのかもしれません。
しかし、夫に自分を殺させるレベッカはすごい。

それとこの映画レベッカの姿は一回も映っていないんですよね。一回も映さないことによって、レベッカの姿を観客に委ねている。
さらに、ダンヴァース夫人が「レベッカ」の亡霊の役割を果たしている。
姿を現すことのない敵を描いた映画は「レベッカ」くらいじゃないでしょうか。