路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(2016)感想 74点

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」とは

暗い過去のせいで故郷を離れた男が、兄の死をきっかけに故郷へと戻ってくる話。

あらすじ

主人公はケイシー・アフレック演じるリー・チャンドラー。
リーには、ジョーという兄がいた。しかし、その兄が心臓の発作で死んでしまう。
忌まわしい町であるマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ってきたリーは、兄の遺言を聞いて驚愕する。それは兄の息子でもあるパトリックの後見人になってほしい、というものだった。

リーの「暗い過去」が、この映画の要になっている。壮絶な経験をしていることが中盤になって明かされ、リーがどうして故郷を離れ、故郷に住みたくないのか、痛いほどわかる。
構成が他とは変わっていて、過去と現在を織り交ぜるように映画は進んでいく。登場人物が回想するのではなく、時系列を適切に入れ替えたものになっている。

この映画は、淡々と進む。ハリウッドのような派手なアクションや、どんでん返しはない。けれど、心を打たずにはいられないストーリーになっている。

沈黙は金、という言葉があるのが、語らずとも伝わってくる映画。
個人的には、終盤ややだれたかなと思った。ユーモアはほとんどないので、コメディが好きな人や、軽いノリを楽しみたい人には向かない。

ネタバレあり感想

アカデミー賞ってどういう基準で選んでいるのか正直謎だったが、この映画に脚本賞と主演男優賞が与えられているのは、すごいわかるなという感じがする。

脚本とケイシー・アフレックの演技(表情)が、とにかく良い。
アメリカ映画なのだが、北欧や日本の映画っぽい雰囲気があるなという印象。

個人的に気になったのはパトリックとリーの関係。
一緒に住もう、と言うパトリックは、リーの過去を知っていたのだろうか。
年齢的に兄のジョーが隠した可能性もある。
というか知っていたら、あの微妙なすれ違いは起こらなかっただろう。

子を失ったリーと、父を失ったパトリック。
映画では少し距離があるように編集されているのだけど(別々にカットされるシーンがあったり)、最後に並んで歩くシーンは良かった。

ただ、2時間超の映画にしてはトーンが一定に近くてわりとだれる。
乗ってきた車が見つからないとか、(寄らないで)行くと(病院)行くの違いとか、そういった日常描写は良かったんだけど、パトリックの日常パートはありがちすぎておもしろくなかった。