路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「僕のワンダフル・ライフ」(2017)感想 30点

「僕のワンダフル・ライフ」とは

犬が転生を繰り返す話で、犬好きであるなら是非観てほしい作品。飼い犬の死という悲劇的な題材を使いながら、明るく希望の持てる映画になっている。
かくいう僕はどちらかといえば猫派なのだが、普通に泣いてしまった。感動したいという人にもオススメの一本となっている。

ただ、映画としての出来はとても良いとは言えない。
少々ご都合的だったり、登場人物に魅力がなさすぎたり、観ていて「え?」と思うことの方が多かった。
犬が好きすぎるせいで人間を見ることがおざなりになっているんじゃないだろうか。
主人公とも呼べる少年イーサン周りの話がとくにひどい。イーサン周り以外のストーリーの方がまだ共感しやすいんじゃないだろうか。

犬好きだったら満足できると思うが、映画としては出来が悪いという印象。
犬好きでも、主役のベリーが無邪気すぎるところは、プラスと思う人もいればマイナスと思う人もいるだろう。
僕自身で言えば、予告の無邪気な犬の声に「キャストミスなんじゃないか」と思ったのだが、本編を見る限り気にならなかった。むしろストーリー的には合っている。

ベイリーが明るく無邪気だからこそ、悲しい話が希望で包まれるのだ。

ネタバレあり感想

少年イーサン周りの登場人物にまったく共感ができなかった。僕がこの映画を評価できない理由になっている。

まず、イーサンが悪気なく悪いことをしているところがイラッとした。
父親のコインを犬に食べさせるミスまでは言いものの、その悪行を隠蔽するために「ねずみだ」と嘘ついて、コインを戻す。そのせいで食事の席はパニックになり、父親は出世どころか顔に泥を塗る。
そしてそのことについてもイーサンは謝ることがなければ、罪悪感を抱くこともない。

青年になったイーサン。
父親は母親と喧嘩をするようになっている。これは明らかに少年のときのイーサンが原因だろうに、父親に出てけ、と言う。
コインのエピソードがなければイーサンかっこいいってなっていたんだが……。

さらにその父親もひどい。
スポーツで活躍したイーサンに対して、酔っ払いながら絡むのだ。
まったく共感できない。少年イーサンに対する扱いを見ていたら、父親がイーサンに対して愛情を持っていることがわかるだろうに。
無理やり父親を悪役にしたいのかと思った。

そしてイーサンの冴えない友達。父親の件で殴られるのだが、その仕返しに花火を家の中にいれて放火する。
火事になるとは……みたいな表情をするんだけど、いや花火入れたら火事になるだろうがボケ、と思うし、そもそもあれくらいで花火を入れる人間がいるのか? と思ってしまった。

この火事が原因でスポーツでの奨学金入学はなくなったイーサン。
ここまで共感できる要素がまったくない。
映画を盛り上げたかったんだろうけど、もっと日常的なシーンの積み重ねで良かったんじゃないだろうかと思う。

ベイリーは死んで、警察官、女性、と飼われていくんだけど、この2人のエピソードの方がよほど良かった。
あと、ベイリーのイーサン贔屓みたいなのもちょっと気になる。警察官と女性だって、ベイリーに愛を尽くしたんだから、もうちょい思い出してやれや。

題材が良いだけにそういう人間の作り込みがすごく残念。
年老いたイーサンはイーサンで、別れた恋人とすぐ結婚して終わるという盛りあがりの無さ。
イーサンが、ボス犬をベイリーだと気づくシーンはもっと感動させれただろうに、あっさりしすぎだし、やっぱり評価できない。