映画「俺たちに明日はない」(1967)感想 74点

俺たちに明日はない (字幕版)

アメリカン・ニューシネマの傑作

見所

・強盗カップルの逃走劇。
・陽気なBGMとともに強盗カップル。
・圧巻のラストシーン。
・実話をもとにした映画。

あらすじ

刑務所から出所したばかりの青年クライドは、街でボニーというウェイトレスの女性と知り合う。「足の指がない」と言うクライドに興味を持ったボニーは、彼についていくことに決める。
クライドはボニーの前で強盗をしてみせ、二人の仲は急接近していく。
ガソリンスタンドの少年や、兄夫婦を仲間に引き連れ、銀行強盗を繰り返すようになるのだが……。

解説

「俺たちに明日はない」に流れるトーンは、犯罪映画であるに関わらず「極めて明るい」のです。
仲間の少年モスは、ボニーとクライドを「英雄」のように慕っているし、兄夫婦は旅行みたいな感じ。
銀行強盗では陽気なBGMがかかり、「強盗している俺らカッコイイ」みたいなノリなのです。
しかし、白いカーペットに落とした一滴の黒い染みが目立つように、映画の底流にある「後戻りできるどうしようもなさ」や「追われつづける辛さ」が、際立っていきます。
ストーリーもさることながら、映画技法的にもすごい作品なので観て損はしないのではないでしょうか。

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感想(ネタバレあり)

ここからネタバレありになります。鑑賞後にどうぞ。

ラストのすごさについて

ボニーとクライドが銃殺されるシーンはかなり有名ですよね。
激しい銃弾の雨の部分に目が行きがちですけれど、その前がすごいんです。

①ハイキーでの銃撃

まず、白昼堂々で死ぬという点ですね。照明で言えばハイキーと呼ばれる明るい映像です。
反対に暗い照明はローキーですね。ホラーでよく使われる照明になります。
通り慣れている道でも夜道だと怖いっていうことはありませんか。映画でも、残虐なシーンはローキーが一般的です。
しかし「俺たちに明日はない」では、明るいシーンで襲われることが多いんです。安全圏であるハイキーで殺すことによって恐怖を演出しています。
これはヒッチコックがよく使う手法でもありますね。
ちなみに暗いところで行われるはずの性交渉も、この映画では明るい外で行われています。そのあとの希望に満ちた話がローキーであることもおもしろい。もちろんこれは、未来への陰を暗示しています。

②無音空間の演出

銃撃の雨の前に、モスの父とクライドの間で沈黙が流れます。父はもちろん銃殺の合図を待っているわけですが、クライドにはわからない。
この十数秒に渡る無音が、緊張感を演出しています。途中、鳥が羽ばたく音が流れますが不穏な響きを持っており、さらにそのあとの無音を強めるのです。もちろん鳥の羽ばたく音は、銃弾の雨の音を暗示しています。
そして、緊張が解放されるかのように無数の銃撃の音。
いきなり撃たれるより、はるかに効果的に「銃撃のむごさ」を強調しているのです。

なぜクライドは不能だったのか?

実際のクライドが不能だったかはわかりません。映画でクライドが不能なのは意味があると思われます。
注目して欲しいのはクライドが強盗を重ねているときは性交渉が出来ず、腕を負傷して一時中止をしている終盤に性交渉が可能になった点です。
そのあとの「もし悪事がチャラになっていたら」の話でわかるとおり、ここでボニーとクライドは恋人の面が強調されています。
ラスト前にあるボニーとクライドの恋愛模様は、「二人が強盗などしていなかったら」という仮定の世界を表しているのだと思います。
強盗時代にクライドを不能にすることで「相棒としてのボニー」を描き、強盗をしていないときに性交渉を可能にすることで「恋人としてのボニー」を描いているのではいでしょうか。
また、二人の明るい未来を描くことで、ラストの悲惨さを強めてもいます。

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