路地裏シネマ

映画の感想、評価

映画「ミザリー」(1990)感想 72点

ミザリー (字幕版)

まだ観ていない方へ

見所

・ファンに監禁される小説家。
・人間の怖さ。
・スティーブン・キング原作の有名小説。

あらすじ

「ミザリー・シリーズ」でベストセラーを出した小説家ポール・シェルダンは、新作の原稿を完成させ、ロッジから帰るところだった。
しかし、外はあいにくの雪嵐。車に乗っていたポールは、運転を誤ってひどい事故をおこしてします。
ひっくり返った車からポール助け出したのは、アニーという女性。彼女は「ミザリー・シリーズ」の大ファンであり「ナンバーワン」のファンを自称していた。
もともと看護師だったアニーによって介抱されたポールは、足を負傷しており自力ではベッドから出られなかった。
最初は献身的に看護をしていたアニーだったが、徐々に彼女の狂気が明らかになっていく。

解説

登場人物はポール(ジェームズ・カーン)と、アニー(キャシー・ベイツ)の二人がメインで、ファンに監禁された小説家の苦痛や恐怖がよく描かれている作品。
派手なシーンはほとんどないが、懸命に脱出しようとするポールの姿や、いきなり切れだすアニーの狂気を観ているだけでおもしろい。
「怖いか?」と聞かれると、とくに怖さは感じず。
恐らくポールの設定が特殊(売れっ子小説家)なので、共感しにくいのだろうと思った。ファンがいるような人間ならかなり恐怖なのではないかと思う。

ネタバレあり感想

ここからネタバレありになります。鑑賞後にどうぞ。

燃やされた「新作原稿」ってどういう内容だったの?

ポールはアニーを倒して、見事生還を果たす。それは「ミザリーの生還」という原稿を燃やすことによってであり、ポールは二度ミザリーを殺している。

映画の序盤でポールは同じように、アニーのせいで新作原稿を燃やしている。この新作原稿は古い鞄に入れられたものだった。
「古い鞄」はポールが売れなかったころに使っていたものであり、彼曰く「小説家である」ためのものである。
売れたミザリーはポールにとっては満足いくものではないことが伺える。燃やされた新作原稿は、ポールにとって小説家の再スタートの意味合いを持っていた。

新作原稿の内容はというと、アニー曰く「言葉が汚い」らしい。スラム街の物語だと、ポールが反論している。どうやら生まれ育った町に近いものを書いたみたいだ。
偶然見つけた古い鞄が「自分の原点」を見つめ直させた。
ミザリー・シリーズがエンタメ作品であるなら、新作原稿は純文学に近いものだったと予測できる。

ポールが生還後に書く小説は『高等教育』だ。


「高等教育」の内容って?

生還後のポールが「自分に向けて書いた」と言った『高等教育』はどんな小説なのだろうか。
燃やされた「新作原稿」は、汚い言葉使いのものだった。高等教育というタイトルには似合わないから、書き直したわけではなさそうである。
まったく新しく書かれた『高等教育』は、恐らく上品な言葉使いがされているものだと予測できる。
「汚い言葉」はアニーが持っていた属性でもあり、ミザリーのファンであるアニーが拒否反応を示したことから、避けたのではないか。
「自分に向けて書いた」という言葉は、ファンを怒らせないという意味合いもあったように思う。
ミザリーシリーズのミザリーは気品ある女性と推測でき、彼のファンも女性が多いのだろう。
ポールの読者層に汚い言葉は合わない。「新作原稿」をそのまま発表していたら、彼は多くのファンを敵に回していただろう。
そういう意味では、アニーがいたからこそ『高等教育』は評価されたのではないか、という可能性がある。
ナンバーワンファンというのは、あながち間違いではなさそうだ。